| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-301 (Poster presentation)

河川におけるオイカワ(Opsariichthys platypus)の摂餌行動について

武村達也(龍谷大・院理 ), 豊福晋作(龍谷大・院理), 遊磨正秀(龍谷大・理)

オイカワの摂餌行動については流速・水深対する選好性, 他種を含む他個体との攻撃的干渉と摂餌行動の関係など室内や野外における研究報告がされており, 摂餌行動は上記の物理環境や餌資源量, 及び他種を含む他個体との関係によって決定されると推測できる. しかし, 実河川で摂餌行動とこれらの関係を同時に調査した研究報告は非常に乏しい. そこで本研究では実河川におけるモニタリングにてオイカワの摂餌場所の特性を明らかにするとともに, 小型個体及び大型個体の摂餌場所特性比較を行った. さらに小型個体に対する大型個体の影響, ならびに同所的に生息する湖産アユとの種間関係について考察した.

本研究で得られたオイカワの体サイズ分布は二山型を示した (以下, 小型・大型個体とする). 摂餌行動が観測されたコドラートの流速と水深の関係から, 最適採餌スポットは流速0-50cm/s, 水深10-60cmの範囲の存在することが示唆された. 種内関係については大型個体の摂餌個体数が増加するにつれ小型個体の摂餌個体数が減少し, 利用環境が異なったものの, 小型個体の摂餌タイプへの大型個体の影響がみられず, 大型個体が優位であるとの既存研究とは異なる結果が得られた. またアユとの種間関係についてはアユが観測されたコドラートにて小型底個体の底食行動個体数や底食行動割合が増加し, また大型個体は影響を受けないなどのことから, これも既存研究で報告されているアユによる負の影響はみられなかった.

本研究ではオイカワの摂餌場所特性として水際に存在するような環境や開水面であることの重要性が明らかになった. また体サイズによる種内関係及びアユとの種間関係について既存研究とは異なり, その存在による摂餌行動への負の影響が認められなかった.


日本生態学会