| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-341 (Poster presentation)

フロラの滝はどこにあるのか?-種分布モデルからの検出-

*橋本 寛治,金子 正美,星野 仏方(酪農大・院・酪農),日野間 彰 (イー・アイ・エル),小野 理(道総研・環境研)

フロラの滝とは植物相の構成要素が大きく異なっている様子を指す言葉である。渡辺(1960)は北海道に南方から進出した温帯系植物の分布より、6箇所でフロラの滝を示している。

本研究では温帯系植物58種に対して、機械学習の一種であるMaxlike (J. Andrew Royle, 2012)を用いて分布域を推測し結果からフロラの滝を生成し、先行研究と比較を行った。Maxlikeは分布データ及び環境データ(降水量、最高気温、最低気温、日射量、日照時間、積雪深)から存否確率を推定する。平衡誤差率(BER)が最小となる閾値を用いて存否確率を2値化し分布域を算出した。種毎に推測した分布域を重合し種数の豊かさ(Richness)を求めた。種数の豊かさから等値線を発生させ、等値線の間隔でフロラの滝の度合いを示した。

結果から石狩低地帯と日高地方沿岸部に強いフロラの滝が認められ、渡辺(1960)と一致していた。オホーツク海沿岸地域にはフロラの滝がなく、この特徴も渡辺(1960)と一致していた。また黒松内低地帯には弱いフロラの滝を確認した。しかしこれは渡辺(1960)では特に強いとされており、一致しなかった。等値線を用いてフロラの滝の度合いを示すことで連続的な変化も同時に表現することが可能であった。


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