| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-399 (Poster presentation)

淡水性カメ類における甲板表面の年輪を用いた成長過程の推定

*下藤章,宍倉慎一郎,大竹海也,加賀山翔一,長谷川雅美

動物の個体群統計学的なパラメータの推定やそれに基づく個体群動態の理解には,個体の成長過程の解明は重要な課題である.長命な動物の成長を標識再捕獲法に基づいて解明するためには十分に長い調査期間を要するが,カメ類では腹甲の甲板上に形成される年輪から過去の腹甲長の推定を行うBack-Calculation法(以下,BC法)を適用し,一度の捕獲・測定作業で過去数年分の成長データを得ることが可能である.しかし,標識再捕獲法による成長解析とBC法の相互比較による精度の検証や,BC法を用いた大規模な成長解析ほとんど行われていない.そこで,BC法と標識再捕獲法による成長解析を相互比較し,その有効性を検証する研究を行った.対象種はミシシッピアカミミガメ,クサガメ,ニホンイシガメで,2013年から2015年にかけて,北総地域の河川とため池で野外調査を行った.前年の捕獲時からちょうど1年後に再捕獲された個体を用いて,実際の年間成長量を求めた.また,2015年に捕獲され年輪が明瞭に残っている個体から,過去数年分の年間成長量を推定した.年間成長量の実測値と推定値について,種と性別ごとに回帰直線を算出し,その整合性について検証した.アカミミガメとニホンイシガメでは性別に関わらず年間成長量の実測値と推定値の間に統計的な有意差はなかった(共分散分析、p > 0.05)。一方、クサガメでは,雌雄共に年間成長量の実測値と推定値の間に有意差がみられた(共分散分析p < 0.05)。クサガメの結果は、メスの再捕獲数が少なかったこと、オスの再捕獲個体の体サイズに偏りがみられたことなどが推定精度へ影響を与えたと考えられる。アカミミガメとニホンイシガメにおいては成長量解析におけるBC法の有用性が示されたと考えられる.


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