| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-405 (Poster presentation)

侵略的外来水草オオバナミズキンバイの分類と生活史特性

稗田真也 (滋賀県大 環境科学) 金子有子 (東洋大) 中川昌人 (岡山農水セ) 野間直彦 (滋賀県大 環境科学)

北米南部・南米原産のアカバナ科の抽水植物オオバナミズキンバイ (広義) Ludwigia grandiflora には,亜種オオバナミズキンバイ L. g. subsp. grandiflora (6,12倍体:2n=48, 96) (以下,亜種オオバナ) と,亜種ウスゲオオバナミズキンバイ L. g. subsp. hexapetala (10倍体 : 2n=80) (以下,亜種ウスゲ) が知られ,特定外来生物に指定されている.和歌山県日高川町,兵庫県加西市,滋賀県琵琶湖湖岸の集団は亜種オオバナとされ,鹿児島県串良川の集団は亜種ウスゲとされている.琵琶湖で大繁茂し,在来植物の駆逐,水流阻害,航行障害などをもたらしている.駆除のための基礎的研究として,亜種オオバナとされる琵琶湖集団の分類,生活史特性の解明を行った.

琵琶湖集団の形態を現地で測定した.染色体は押しつぶし法で観察し,倍数性はフローサイトメトリーで分析した.また,現地植物の追跡で開花フェノロジーを調査し,訪花昆虫の採集・付着花粉量を調べた.種子発芽実験は採集後と前処理後に行った.比較のため,他集団についても調査した.

琵琶湖集団は,茎・葉の毛量,ガク裂片,花弁,花柱は亜種ウスゲの測定値内にあった.染色体数は,おおむね2n=80であった.琵琶湖集団と亜種ウスゲ串良川集団の核DNA量は,亜種オオバナ加西集団と日高川集団よりも多かった.これらのことから,琵琶湖集団は,亜種ウスゲであると考えられる.開花は6月中旬,着果は7月中旬に多くみられた.訪花昆虫は20科34種がみられた.中でもハナバチ類は訪花個体数・付着花粉量ともに多く,特に6月~7月に多く訪花することがわかった.発芽率は,種子・果実を4℃もしくは25℃の湿潤土壌中で40日間保存すると上昇した.


日本生態学会