| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-068 (Poster presentation)

チークの滞水ストレスによる成長抑制

*香山雅純, 米田令仁(国際農研), Sutjaporn Hongthong, Suchart Nimpila, Woraphun Himmapan, Wilawan Wichiennopparat, Tosporn Vacharangkura(Royal Forest Department), 野田 巌(国際農研)

チーク (Tectona grandis) はタイに分布にする郷土樹種で、チークの植栽もタイ全土で実施されている。チークは排水の良い立地で良い成長を示すが、水はけの悪い立地では成長が抑制されることがよく知られている。しかし、水はけの悪い立地における成長抑制について、生理的なメカニズムについては不明な点が多い。そこで、チークの滞水ストレスに対する成長抑制を検証するポットの植栽実験を行った。本実験は、タイ東北部のコンケン県にある東北タイ樹木種子保全センターにおいて実施した。滞水ストレスの環境を再現するために、養分を含まず、かつ透水性を悪化させるベントナイトを4%添加したポットにチークの苗を植栽した。なお、対照としてベントナイトを添加しない処理区も用意した。チーク苗の植栽は2013年7月に実施し、毎日約1Lの灌水を実施して育成した。実験は2014年7月まで実施し、成長や葉面積、水分特性、光合成特性を継続して測定した。2014年7月にはチーク苗のサンプリングを行い、苗木の乾重量を測定し、植物体中の養分濃度を分析した。

ベントナイト添加区では、2013年12月頃から灌水後に水の滞水が観察された。ベントナイト添加区では顕著な樹高や根元直径の低下はなかったが、葉の生産と根の成長が抑制された。一方、光合成速度や気孔コンダクタンスの低下はなかった。


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