| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-078 (Poster presentation)

バイケイソウ偽茎はパイプモデル通りに出来ているか?

顧令爽, *紺野康夫, 佐藤禎稔 ( 帯広畜産大学)

ある高さにおける偽茎断面を想定し、その高さにおける単位長の偽茎質量とその断面の上に位置する葉身質量との間には、偽茎下部を除けば正比例関係が成立した。この結果は、パイプモデルが依拠した想定と一致する。そこで、上部2/3に葉身を持つ個葉について、それがパイプモデルが想定するユニットパイプ通りに作られているかを検討した。

その結果、1)葉身質量は、葉によって異なった(×)。2)[単位長葉柄質量/葉身質量]は、生重ベースでも乾重ベースでも、個葉間で似た値を示した(○)。ただし、もっとも高い位置に葉身を展開する(=その葉柄が偽茎断面のもっとも内側となる)葉は、必ずしも他の葉と一致しなかった(×)。3)葉柄の単位長質量は、生重では高さによって変化が小さかったが(○)、乾重では下部ほど小さくなった(×)。

これの結果を、個々の葉の葉柄が、偽茎断面の位置の違いによって、偽茎の力学的支持に関する貢献のしかたの違いから、考察する。内側の葉柄は、偽茎断面において断面二次モーメントが外側の葉柄と比べて小さく、直接的な力学的貢献は小さい。しかし、偽茎上部では、下部で内側にあった葉柄も外側に位置することになるので、力学的貢献は大きくなくてはならない。乾重が組織の力学的強度に比例すると仮定すると、これが乾重ベースでの単位長質量が下部ほど小さい理由と考えられる。一方、内側にある葉柄も断面積を大きくして、偽茎断面積を大きくすることで、偽茎断面の断面2次モーメントを大きくすることで、間接的に偽茎の力学的強度を保つことに貢献しているものと考えられる。偽茎が支持器官の断面積とその断面の上方にある葉質量とが正比例するという、基本的な関係を保ちながら、個々の葉は力学的な必用に効率答えるよう、偽茎は統合された存在あることが分かった。


日本生態学会