| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-149 (Poster presentation)

土地利用履歴・土壌型・生物多様性が干ばつ時のEVIに与える影響

柳川亜季, 吉川沙耶花, 井芹慶彦(東工大・理工学), Cho Jaeil(全南大学・農学), Kim Hyungjun(東大・生産研), 鼎信次郎(東工大・理工学)

干ばつは,一次生産量を低下させ,作物の減収や自然生態系への影響などを引き起こす.IPCCのAR5の将来予測では今後さらなる干ばつの増加が世界の複数の地域で予測されている.そして,同程度の干ばつであったとしても,土地利用履歴や生物多様性によってその影響は異なることが考えられる.よって,より現実的な干ばつ影響評価には,これまで考慮されてきた,降水量,前年の生産量,極端な降水だけでなく,土地利用履歴や土壌の諸性質,植物種数なども考慮する必要がある.本研究では,近年多発する乾燥地の干ばつに着目し,干ばつ前年および干ばつ翌年のEVIの変化(Resilience)と降水量,土地利用履歴,土壌の諸性質,生物多様性との関係について考察することを目的とした.

全球の陸地を対象とし,空間解像度は,5’x5’とした.干ばつの定義は1901-2013年までの113年年間の年間降水量の2.5パーセンタイル以下の降水イベントで,かつその前年および翌年の降水量が前述の期間の年間降水量の10パーセンタイル以上である場合とした.目的変数を,Resilienceとし,説明変数を干ばつ年とその前後の年の降水量,生物種数,土壌栄養量,耕地・草地利用履歴,灌漑率とし,階層ベイズモデルにより各変数の係数を求めた.すべての説明変数は連続変数であり,0-1の値に収まるように変換した.ベイズ情報量基準による変数選択を行ってから,ベイズモデルで求めた.対象期間は,2000年から2013年を解析対象とした.

説明変数のなかでも,干ばつ年,干ばつ前年そして,干ばつ翌年の降水量の順に係数が大きかった.次いで,灌漑率,草地の履歴,土壌養分量,耕地の履歴,植物種数と続いた.


日本生態学会