| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-165 (Poster presentation)

名古屋市東部における戦後の緑地の変遷

*中川祐弥(三重大・生資), 板谷明美(三重大院・生資), 水野三正, 玉木一郎(岐阜県立森林文化アカデミー)

名古屋市東部の戦後の緑地の変遷を明らかにすることを目的に,航空写真を用いて5つの緑地(貴船社,明徳公園,猪高緑地,東山公園,平和公園)の土地被覆属性の面積と樹林地パッチ数を測定し,比較した。1949年,1965年,1977年,1987年,1995年,2004年に撮影された航空写真を国土地理院の「地図・空中写真閲覧サービス」よりダウンロードして使用した。これらの航空写真をオルソフォトに変換し,目視判読によって6つの土地被覆属性(樹林地,草地,池,建物,人工物,裸地)に分類してGISを用いてポリゴン化した。ポリゴン化した各土地被覆属性の面積と樹林地パッチ数を算出した。解析の結果,解析対象緑地の中で最も面積が小さい貴船社は,解析期間中の土地被覆の構成要素も樹林地,草地,裸地の3つであった。次に面積の小さい明徳公園も他の面積の大きな緑地が解析期間中6つの土地被覆属性で構成されているのに対し,4つの土地被覆属性で構成されている期間が長かった。樹林地については,猪高緑地以外は面積がそれほど変化しない,もしくは増加していた。猪高緑地は1949年から1965年にかけて樹林地の面積が増加したがその後は減少傾向を示した。樹林地パッチの数は,解析期間中において貴船社は増加したが,猪高緑地は減少した。他の緑地は初め増加した後,減少した。1949年の航空写真では,どの緑地の周辺や内部にも田畑が分布し,樹冠も疎な状態であった。その後,森林の遷移が進み,面積も増えた。しかし,その半分の領域が名古屋市のベッドタウンである長久手市に位置していた猪高緑地は,長久手市側から宅地開発によって大きく緑地が削られ,名古屋市側もその影響を受けていた。


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