| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-418 (Poster presentation)

侵略的外来樹木ストロベリーグアバが林床の有機物分解過程に及ぼす影響

*榎木勉 (九州大・演習林), Drake DR (Univ. Hawaii)

ハワイ州オアフ島において侵略的外来樹木ストロベリーグアバ(Psidium cattleianum)が林床のリター分解過程に及ぼす影響を明らかにするために、市販されている2種類(ルイボス茶と緑茶)のティーバッグを用いた分解実験(Tea Bag Index)を行った。降水量が分解過程に及ぼす影響を考慮するため、年平均降水量1499mm〜3953mmまでの範囲に6つのサイトを設定し、それぞれのサイトに成立する在来林分とストロベリーグアバ林分に5つずつのプロットを設置した。各プロットには2種のティーバッグを4組ずつ埋設し90日後に回収した。2種のティーバッグの残存率から短期分解速度の指標kと長期蓄積の指標Sを算出した。また、各プロットの土壌特性として、リター蓄積量と含水率、表層土壌の含水率とpHを測定した。

在来林分では、降水量の増加に伴いリターおよび表層土壌の含水率が増加し、リター蓄積量および土壌pHが減少した。ストロベリーグアバ林分ではこれら土壌特性の降水量に伴う変化が小さくなった。ストロベリーグアバ林分の土壌含水率は、在来林分と比較して、降水量の少ないサイトで高く、降水量が多いサイトで低くなった。ストロベリーグアバ林分の表層土壌のpHは降水量による変化はなかった。

リター分解についてもストロベリーグアバ林分では降水量に伴う変化が小さくなった。在来林分では分解速度の指標kは在来林分では降水量の増加に伴い大きかったが、ストロベリーグアバ林分では降水量による違いは無かった。長期蓄積の指標Sは両林分とも降水量が多いほど小さかったが、その変化率はストロベリーグアバ林分で小さかった。分解速度の指標kの分散は土壌特性では説明されず、林分の構成種による違いで説明された。一方、長期蓄積の指標Sの分散はpH、含水率などの土壌特性で説明された。


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