| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


シンポジウム S02-4 (Lecture in Symposium/Workshop)

研究-実務間ギャップ1: 政策が必要とする科学的情報・知見とは

大澤隆文(環境省)

科学と政策の統合が謳われるようになってから既に相当年数が経過しているが、その実現は未だ途上にある。例えば、基礎的・概念的ではなく、より応用的・具体的な提言・情報を提供する研究の実施は、長年の課題となっている。政策上必要な科学的情報・知見がそもそも何か、研究者側はあまり知る機会がなく、仮にあっても科学的観点からは興味が湧く素材が限られる可能性も想定される。また、政策上、必要な科学的情報・知見があっても、それを学び使いこなせる政策側の体制も必要である。

本発表では、上記のような科学-政策間のギャップの原因を、科学側及び行政側双方より抽出して、それに対する処方箋(解決策)案を冒頭で提示する。その上で、実際に科学と政策の間を埋めるような研究、即ち保全政策に直結するような保全科学として、演者が最近関わった事例を紹介する(政策による自然保護への効果を定量的に検証した研究及び特定の自然保護区における気候変動への適応策の模索)。これらの事例を通じ、保全行政に直接貢献し得る保全科学がどういうものか、行政及び研究の両視点で議論したい。


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