| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


企画集会 T16-2 (Lecture in Symposium/Workshop)

山地の森林に生息する大型土壌動物の群集形成プロセス

*池田紘士(弘前大),福森香代子(国環研),加賀谷悦子,高橋正通(森林総研),伊藤雅道(駿河台大) ,酒井佳美(森林総研), 松本和馬(国際環境研究協会)

生物は、地球上の様々な地域に分布を拡大しながら、多様な生態進化と種分化を遂げてきた。したがって地域群集は、その地域への分布拡大という歴史的要因と、そこにすでに生息する生物における生態進化という進化的要因の2つが主要因となって形成される。天然林に存在する群集は、種多様性が高いこともあってその構造は非常に複雑である。そのため、その種構成について十分な理解は得られておらず、特に土壌中の生物の群集構成はほとんどわかっていない。本研究では、大型土壌動物であるミミズをモデルとして、山地の天然林に生息する土壌動物群集の形成プロセスにおいて、歴史的要因と進化的要因がどのように関わってきたのかを明らかにする。

日本において比較的広い範囲で天然林が残されている中部山岳地域において、20×20mのサイトを12地点設定した。各地点において、7月上旬と9月上旬の2回、ミミズを採集し、遺伝子解析を行って系統樹を構築し、群集形成プロセスを調べた。その結果、ジュズイミミズ科、ツリミミズ科、フトミミズ科の3科が採集された。ジュズイミミズ科は1地点でしか採集されなかったが、ツリミミズ科とフトミミズ科は大半の地点から採集された。ツリミミズ科もフトミミズ科も、地点間の距離が近いと、系統的に近縁な種によって群集が構成される傾向があった。本発表では、各地点の環境条件と群集形成プロセスの関係についての解析結果も紹介する。


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