| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


企画集会 T20-2 (Lecture in Symposium/Workshop)

環境DNAを用いた流水環境におけるアユの生物量の推定

*高原輝彦 (島根大・生物資源), 森下大悟 (福島県内水試), 土居秀幸 (兵庫県立大・院・シミュレーション), 山中裕樹 (龍谷大・理工), 源利文 (神戸大・発達), 川田暁 (福島県内水試)

湖沼や河川などの水に浮遊・存在する魚の排泄物などに由来するDNA(環境DNA)を用いた生物モニタリング手法の研究が活発化している。とくに環境中のDNA濃度を指標にした対象動物の生物量推定の可否については、主に湖沼のような止水環境において研究が行われており、河川などの流水環境においてはよくわかっていない。そこで本研究では、重要水産資源であるアユPlecoglossus altivelisを対象にして、流水環境における本種の生息状況を簡便に評価できる環境DNA手法の開発を試みた。まず、野外に設置された掛け流し式の大型水槽を用いて、アユの生物量とDNA濃度の関係を調べる飼育実験を行った。その結果、流水環境中のアユのDNA濃度とバイオマスには強い正の相関関係があることがわかり、アユのDNA濃度からバイオマスを推定するモデル式の開発に成功した。次に、福島県の請戸川において、環境DNAからアユの生物量の推定を試みる野外調査を行った。調査地では、2014年5月に約11000尾(約18g/尾)のアユの稚魚が放流された。放流場所の上流にはダムがあり、また、その2km下流には大規模な滝があることから、放流アユはこの2kmの半閉鎖的な環境に留まっていると仮定した。野外調査は9月に実施し、調査区域2km内の12カ所において、岸から水1Lを採取して、アユのDNA濃度を測定した。次に、上記のモデル式を用いて、水サンプル中のDNA濃度からアユの生物量を推定した結果、野外環境下におけるアユのDNA濃度から推定した生物量は、ある程度の推定精度をもつことが明らかになった。これらのことから、環境DNA手法は流水環境における生物量の推定にも活用可能であると考えられた。


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