| 要旨トップ | ESJ63 自由集会 一覧 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


自由集会 W06 -- 3月21日 17:30-19:30 RoomG

感染症の生態学

企画者: 坂本佳子(国立環境研究所)

病原体がもたらす感染症は、今や人間社会のみならず生物多様性にとっても深刻な脅威となっているがその根底には病原体の多様性の撹乱がある。生物多様性科学国際協同プログラムDiversitas Annual Report(2006)は、人間が熱帯林のような生物多様性の高い地域に入り込み、開発を進めることは、生物学的「貯蔵庫」の秩序を撹乱し、人間を新興感染症の危険にさらすと報告している。生物多様性は人間にとって食糧や医薬品となる遺伝子資源を提供するだけでなく、様々な病原体から人間を保護する役割も果たしているという。

問題をもたらしているのは病原体ではなく、病原体を含む生態系の共生関係をかく乱している人間活動にある。自然環境が破壊され、病原体が移送されることにより、病原体はその生息場所を失い、宿主転換を図り、人間を含む生態系に対して重大な被害を及ぼさざるを得なくなっている。人間の安全で健康な社会を守るためにも、病原体の多様性と地域固有性の理解が重要であり、感染症対策にも生態学的な視点からのアプローチが必要とされる。

本集会では、近年話題となっている人や野生生物の感染症を対象として、現状把握とともに、生態学者が取り組むべき課題について議論する。

[W06-1] カエルツボカビからマダニ媒介性感染症SFTSまで〜生物多様性の崩壊と感染症  五箇公一(国立環境研究所)

[W06-2] なぜニホンミツバチでアカリンダニが流行するのか?-グルーミング行動の解析-  坂本佳子(国立環境研究所)

[W06-3] デング熱を始めとする蚊媒介感染症の生態と対策  杉山隆史(フマキラー株式会社)

[W06-4] 甲虫寄生ダニにみる景観と寄生生物の重要な関係  岡部貴美子(森林総合研究所)


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