| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(口頭発表) I01-04  (Oral presentation)

広島市における土砂災害リスクの定量評価と将来予測

*土光智子, 陳文波, 古谷知之(慶応大)

広島県は、広島花崗岩類が広く分布している。花崗岩が風化すると、豪雨等により容易に崩壊するようになる。広島県は花崗岩の分布面積が全国一の県で、土地条件からみると土砂災害の危険が非常に高い。平成26年8月20日に発生した広島市における土石流及び斜面崩壊の土砂災害は記憶に新しい。平成26年の土砂災害について、広島県内で発生した8月豪雨による土砂災害発生件数は179件であり、内訳は土石流等110件、がけ崩れ69件であった。広島市における8/20豪雨土砂災害発生件数は166件であり、その内訳は土石流等107件とがけ崩れ59件であった。広島市における土石流危険渓流は2,402、急傾斜地崩壊危険箇所は3,634 で、全国で二番目に多い。広島県における2002 年現在の土砂災害危険箇所は31,087 で、総数では全国で最も多い。斜面崩壊や土石流は自然現象の一部であり、人間活動が行われていない場所で発生すれば災害にはならない。しかし、これらの発生場所と人間の活動場所が一致したときに災害となる。近年の開発の進展に伴い、人間活動の場が平野から山地部へと拡大したため、土砂災害危険性は増大している。本研究では、土砂災害の危険性が潜在的に高い地域である広島市で、特に斜面崩壊に限定した土砂災害リスクを定量評価し、2010年から2040年までの人口推移分布に従って、土砂災害リスクの将来予測を試みた。まず、GISを用いて、自然条件として自然災害の素因となりうる地理データを収集した。つぎに、素因と過去の斜面崩壊被災地点との関係性をロジスティック回帰モデルを構築して分析し、斜面崩壊リスクを予測する地図を作成した。最後に、社会条件として人口推移データから人間活動地域のゾーニングを行い、斜面崩壊リスク予測地図と統合して、ハザードマップを作成した。


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