| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-C-125  (Poster presentation)

分布を考慮した捕食者-被食者系個体群動態への連合防衛の影響

*永田隼平, 山内淳(京都大学 生態学研究センター)

植物では、植食者から身を守るための化学的/物理的な効果を伴う様々な防御機構が進化している。それらは植物個体が直接的に自身を守る効果に加えて、近隣植物への間接的な防衛の効果をもつ場合がある。例えば、植食者が防御機構をもつ植物を避けることで近隣植物も摂食を免れたり、植物が発する植食者の天敵を誘引する信号物質が近隣個体への天敵誘引も副次的にもたらしたりするかもしれない。このような間接的な防衛の効果は連合防衛(associational resistance)として知られている。連合防衛の効果は局所的な植物密度が高いほど大きくなるはずなので、個体群の密度と分布様式は連合防衛の鍵となる。
そのような連合防衛の働きを理解するため、連合防衛と植物個体群の密度分布を考慮した個体群動態モデルを構築した。被食者のロジスティック成長と、捕食にタイプ1の機能の反応を仮定したLotka-Volterra型の連続時間の捕食者-被食者(植食者-植物)モデルとして定式化した。植物の防衛努力はパラメータとして与え、防衛努力の増加は内的自然増加率の低下と摂食圧の抑制をもたらすとした。防衛の効果は植物個体群の局所密度が高いほど大きくなると考えた。2種の個体数は連続的に変化するが、各瞬間の植物個体群の分布は与えられた確率密度関数に従う確率分布に即座に収束すると仮定した。植物個体群の分布様式には一様分布とランダム分布を用いた。
このモデルを共存平衡状態の存在可能性と安定性に注目して解析した。連合防衛がない場合には共存平衡状態が存在すると必ず局所安定となる。対して、連合防衛がある場合には、パラメータ空間上での共存平衡状態の存在領域が狭くなって植食者が排除されやすくなること、共存平衡状態が不安定化して2種の個体数が振動しつつ共存する可能性があることが明らかとなった。また、植物が一様に分布するよりもランダムに分布する方が、植食者がより排除されやすいことが示された。


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