| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-F-190  (Poster presentation)

eDNA分析で明らかになった琵琶湖産スジエビの時空間的分布

*邬倩倩(神戸大・院・人間発達環境), 石川俊之(滋賀大・教育), 辻冴月(龍谷大・院・理工), 山中裕樹(龍谷大・院・理工), 高見泰興(神戸大・院・人間発達環境), 源利文(神戸大・院・人間発達環境)

                         eDNA分析で明らかになった琵琶湖産スジエビの時空間的分布
                            *邬倩倩 石川俊之 辻冴月 山中裕樹 高見泰興 源利文
 琵琶湖に生息するスジエビは、春から夏にかけて沿岸域で繁殖し、秋から冬に深層に移動し、春にまた沿岸に戻るという深浅移動を行う。深浅移動を行う集団の他に、移動しない集団がいるという報告もあるが、その詳細はまったくわかっていない。異なる行動様式を示す2タイプのスジエビの生態を明らかにするためには、あまり知見のない残留スジエビの冬季の生息地を明らかにする必要がある。そこで本研究は、環境DNA( eDNA )分析法を用いて冬季に残留するスジエビの生息地を明らかにし、異なる行動様式をもつ2タイプのスジエビの分布を把握することを目的とした。まず、冬季に沿岸と内湖に残留する個体がいることを確認するため、琵琶湖沿岸の内湖の33地点においてeDNA分析法を用いて冬季に残留するスジエビのDNAの検出を試みた。加えて、スジエビのDNAが検出された9つの内湖のうち5つの内湖において採捕調査を行った。結果として、5つの内湖全てでスジエビの生息が確認され、スジエビの分布調査へのeDNA分析法の有効性が示された。次に、スジエビの移動によるeDNA量の季節変化について、年間を通じた琵琶湖全域でのサンプリングによって検証を行った。移動型と残留型のスジエビは、共に春から夏にかけて沿岸域で繁殖するため、夏季には沿岸と内湖においてスジエビのDNA量が沖帯より高くなると予想される。また、移動型のスジエビは秋から冬に深層に移動するため、冬季には沖帯においてスジエビのDNA量が沿岸と内湖よりも高くなると予想される。本発表においては、eDNA解析がこれらの予測を支持するかどうか議論する。


日本生態学会