| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-J-315  (Poster presentation)

有毒なアカハライモリが危険時に出すにおいは同種他個体の行動に影響を与えるか?

*江口優一, 吉村友里, 粕谷英一(九州大学)

 捕食者と被食者の関係は動物において重要な相互作用である。被食者は、捕食者自身または他の被食者が出す物質を手がかりとして使い、捕食者を早期発見することが知られている。
 被食者の中には捕食者に対して有毒で、それを捕食者に知らせる警告シグナルを持つものがいる。たとえば、においのような捕食者と遭遇し危険を感じた時に出される警告シグナルの場合は、同種他個体に捕食者の存在を示す手がかりとして利用(eavesdropping)されている可能性がある。こうした警告シグナルが同種間でも利用されていることが明らかになれば、警告シグナルの進化を解明する上で重要である。
 そこで本研究では、有毒なテトロドトキシンを持つアカハライモリを用いて、本種が捕食者と遭遇したときに出すにおい(警告シグナル)に対する同種他個体の反応を観察した。実験では円柱状のケースに入れたアカハライモリに4つのにおい(空気のみ、エサのにおい、刺激を与えていないアカハライモリのにおい、刺激したアカハライモリのにおい)を与え、その反応をウェブカメラで撮影した。そのビデオ映像をもとにトラッキングソフトによりアカハライモリの動きを記録し、処理間でのアカハライモリの移動距離や移動頻度の差などを解析した。


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