| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-M-354  (Poster presentation)

青森県沿岸におけるマイワシの回遊履歴の推定

*田中淳也, 東信行(弘前大学)

 哺乳類、鳥類、昆虫など様々な生物で「渡り」や「移動分散」といった行動を行うことが知られている。魚類においてもこのような行動様式が見られ、それらは「回遊」と呼ばれる。魚類の回遊はその特徴に基づいて分類され、例えば、餌を求めて移動する過程は索餌回遊、産卵のため産卵場へ移動する過程は産卵回遊、冬季に低温を避けて越冬場へ移動する過程は越冬回遊と呼ばれる。生物資源の利用という観点から回遊を解明することは、系群の識別に必要なだけでなく、それぞれの系群の生活史の追跡や、漁獲変動の見積もり、資源管理の方法を考える上で不可欠である。

 本州最北端に位置する青森県は、その三方を「日本海」、「津軽海峡」、「太平洋」に囲まれた特異的な地形を持つ地域である。そのため、それぞれの海域から来遊してきた魚群が混在していることが考えられる。しかし、それらの魚群がどこからやって来たのか、その来遊経路を調査した研究は非常に少ない。
そこで本研究では青森県において重要な漁業資源であるマイワシの筋組織を試料とし、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS)を用いて産地判別や移動履歴の推定に利用される微量元素分析を行い、その生体内微量元素の値からそれぞれの海域での特性を比較した。本発表では、これまでの研究成果を紹介する。


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