| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-O-407  (Poster presentation)

侵略的外来水草オオバナミズキンバイの種子発芽特性

*稗田真也(滋賀県大環境), 金子有子(東洋大), 中川昌人(岡山農水セ), 野間直彦(滋賀県大環境)

侵略的外来水草オオバナミズキンバイの種子発芽特性
稗田真也(滋賀県大 環境) 金子有子(東洋大) 中川昌人(岡山農水セ) 野間直彦(滋賀県大 環境)

 オオバナミズキンバイLudwigia grandiflora は北米南部から南米原産の抽水植物で,特定外来生物に指定されている.琵琶湖では,亜種ウスゲオオバナミズキンバイ L. g. subsp. hexapetala が繁茂しており,駆除が行われている.侵入リスク解明のため,種子発芽特性を調査した.
 休眠打破条件を解明するため,無処理および40日間の前処理後(温度:4℃・25℃;条件:乾燥・湿潤・泥中;状態:果実・種子)に,発芽実験(25℃明/15℃暗;12時間交代)を行った.発芽率は,特に泥中保存で上昇したため,果実・種子は湿潤土壌に埋土することで休眠打破すると考えられる.
 越冬能力を解明するため,4℃120日間の前処理後(条件:乾燥・湿潤・泥中;状態:果実・種子)に,発芽実験を行った.発芽率は,泥中果実と泥中種子で高かったため,泥中では非休眠状態で埋土・越冬していると考えられる.
 好適発芽条件を解明するため,種子発芽実験(光:明・暗;酸素:好気・嫌気;温度:恒温20℃・変温25℃/15℃)を行った.発芽は,明・好気・変温条件でのみみられたため,種子にギャップ検出機構があると考えられる.
 実生定着率を解明するため,琵琶湖南湖烏丸半島の群落内・群落端の小ギャップに発生した実生の追跡調査を行った.最終的に,全個体が枯死したことで定着はみられなかった.死因は,群落内ではキタカミナリハムシによる葉の食害,群落端では乾燥と考えられる.しかし,今回初めて日本の野外で実生発生が確認されたため,野外で種子繁殖している可能性が高い.
 本亜種は,種子が非休眠状態で埋土している攪乱依存種といえる.また,セーフサイトでは,有性生殖でも分布拡大すると考えられる.駆除後も,発芽からの再生を警戒する必要がある.


日本生態学会