| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-O-415  (Poster presentation)

春日山原始林における外来種ナギとナンキンハゼの侵入状況

*森家侑生, 柊まり, 名波哲, 伊東明(大阪市立大学・院・理)

 奈良県の特別天然記念物春日山原始林では以前より外来樹種であるナギNageia nagiとナンキンハゼTriadica sebiferaの分布拡大が報告されており、在来樹種の更新の阻害が懸念されている。本研究では、この2種を対象に、個体の分布と逸出地点の環境条件を明らかにすることを目的とした。調査は2015年に春日山原始林約120 haにおいて、樹高30 cm未満、30 cm以上130 cm未満、130 cm以上の3サイズクラスに分けて、位置とサイズを記録した。それぞれのサイズクラスにおいて、ナギは3039個体、1309個体、146個体、ナンキンハゼは3917個体、257個体、41個体であった。分布は同種個体群に近い西側に偏っており、ナギは北から、ナンキンハゼは南から東側に進出していると考えられた。逸出地点の環境条件として、林冠の状態、斜面の方角と傾斜、微地形、周辺の樹種組成を記録した。ナギは粗開林冠や閉鎖林冠の下に多く発生していた。また、同じ場所に大きい個体が多く存在していた。対してナンキンハゼの多くはサイズが小さく、樹高30 cm未満の個体は主に林冠ギャップや粗開林冠に発生していた。樹高30 cm以上の個体は林冠ギャップに多く、粗開林冠には少なかった。調査地北西斜面にナギ・ナンキンハゼ共に多くの個体が分布していたが、ナンキンハゼは明るい南向きの斜面にも多く分布していた。ナギは傾斜が緩やかな地点、谷底の平坦な地形や流路の近くに多く、特に流路の近くの個体はサイズが大きかった。一方、ナンキンハゼは傾斜が急な地点に多く、さらに尾根に近い斜面や平坦面にも多かった。逸出地点周辺は多様な樹種が見られたが、コジイのいる地点にはナギが多く、ナンキンハゼは少なかった。春日山原始林では2種の外来種が現在西側に集中しているが、今後異なる分布拡大を見せる可能性がある。


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