| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-C-117  (Poster presentation)

高知県大月町西泊における野外での浅海性ウニ類の繁殖について

*目崎拓真(公財)黒潮生物研究所)

 これまで浅海性ウニ類の産卵期など繁殖に関する情報の多くは、採取したウニ類から得られた生殖腺や実験室内での観察によって集積されてきた。その一方で繁殖行動、繁殖時期、繁殖時間に関する野外での報告例はあまり多くない。そこで本研究では、高知県大月町西泊地先の海で2007〜2016年までにスキューバ潜水やシュノーケリングで観察されたウニ類の野外での繁殖について報告する。
 野外で繁殖が観察されたウニ類は5科5属5種で、ツマジロナガウニ、コシダカウニ、ラッパウニ、シラヒゲウニ、ガンガゼ、タコノマクラだった。野外で繁殖が確認された時期は6〜10月で特に6〜7月が多く、繁殖日の日平均水温の範囲は22.0〜27.6℃だった。データ数が少ないため月齢との周期性などは不明だが、満月や新月の大潮以外に下弦前後の小潮にも放卵放精が見られた。また、観察した年によっては、西泊地先で個体密度の多いツマジロナガウニやガンガゼで、1ヶ月に4〜13日の間隔で3回の放卵放精が確認された。放卵放精が観察された時刻は20:00〜21:00の間が最も多かったが、ラッパウニやガンガゼでは先に示した時刻以外に日没前の午後に、タコノマクラでは日没前の午後のみだった。今回確認された種では、通常時に定位している場所より高い岩や岩盤の上に移動し、複数の個体が集合して放卵放精する傾向が見られた。


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