| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-J-294  (Poster presentation)

花被の各部位は同じように化学防御されているのか?:周縁部と中心部の防御物質濃度パタン

*中野沙耶(東北大理), 板垣智之(東北大 生命), 小黒芳生(森林総研), 酒井聡樹(東北大 生命)

花は、送粉者を誘引しつつ、植食者から身を守らなければならない。花の食害は、子房等の損傷による生殖機能の直接的な破壊や、花の形状変化による送粉者誘引効率の低下にもつながる。被食箇所が花托に近いほど生殖器官の損傷の可能性が、末端の部位ほど、花の外形変化による誘引効果の減少の可能性が高まると考えられる。では、防御への投資も花の部位によって異なるのだろうか。
本研究では、花の被食防御への資源分配が花被内で一様であるか否かを明らかにするため、花被の各部位の防御物質濃度と被食率の測定を行った。対象種は宮城県・岩手県・青森県に自生する10種で、花被は外花被と内花被、また花托に近い部分(中央部)と遠い部分(周縁部)に分けた。各防御物質濃度の測定結果について、種ごとの解析と10種全てを含んだデータでの解析を行い、部位に分けたことによる効果と種の効果を見た。濃度測定の対象物質は総フェノールと縮合タンニンとした。
結果、被食率・防御物質濃度ともに、内花被より外花被の方が、また中央部より周縁部の方が高い傾向にあった。このことから、1) 花の外形を保って誘因効果を維持する、2)被食されやすい部位を守る、のどちらかまたは両方のために、植物は、花被の中で外環境により近い部位の防御物質濃度を高くするように進化してきた可能性がある。


日本生態学会