| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-M-381  (Poster presentation)

二次林伐採跡地における微地形と土壌およびコナラ実生の分布

*橋本啓史(名城大学・農), 大崎晃寛(名城大学・農), 都築芽伊(名城大学・院・農), 松浦俊也(森林総研)

 コナラ二次林皆伐後にコナラの実生更新が期待できる環境条件、特に土壌条件を明らかにすることを目的に、愛知県豊田市市木町の皆伐後3年目の南西向き斜面(標高約105mの丘陵地の頂部斜面)に95個の2mメッシュ調査区を設け、12月にコナラの実生の位置と樹高を記録した。また各メッシュの4隅で梅雨時と夏の乾燥時の土壌水分(3cmプローブのTDR式土壌水分計を使用)、A層の深さ(検土杖で採取)、A層およびB層の窒素含有量(層別にC/Nコーダーで計測)を記録した。9月に小型UAVで撮影した画像をオルソ化し、各メッシュの植被率を目視で10%刻みで読み取った。また翌1月にも小型UAVで約10mの高度から撮影し、SfMでDSMを作成した。なお、本調査地ではコナラ、アベマキ、アカマツの以外は毎冬除伐され、落ち葉掻きも行っているので、DSMは、切株等を除き、ほぼ地形を表現できている。
 伐採後に発芽し、3年目まで生残したコナラ実生が1個体以上存在する区画は26個であった。分類回帰樹木の結果、梅雨時(7月10日)の土壌水分が27.25%以上の区画でコナラ実生が生残している傾向にあった。全体精度は79.0%、コーエンの一致係数(Cohen's kappa)は0.41、感度(sensitivity)は46.2%と低かったが、陰性的中率(Negative predictive power)は81.8%であった。コナラ実生が生育可能な土壌条件でも種子が散布されていなかったり、イノシシ害にあって実生が死亡した可能性も考えらえる。
 区画内の最大樹高について重回帰分析を行ったところ、A層およびB層の重量当たりの窒素含有量がいずれも正の要因として選択された。
 各環境要素間の相関を見ると、A層の深さが土壌水分やA層の重量当たりの窒素含有量と正の相関が認められた。A層は窪んだ微地形のところで深い傾向が見られた。


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