| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-N-408  (Poster presentation)

異なる森林タイプが渓流水DOC-NO3-濃度比に及ぼす影響

*長坂晶子(道総研林業試験場), 長坂有(道総研林業試験場), 石川靖(道総研環境科学研究センター)

溶存有機炭素(DOC)と硝酸イオン(NO3-)は河川水質における炭素、窒素の主要形態である。Konohira and Yoshioka(2005)は、国内の森林渓流において観測された渓流水中のDOCとNO3-濃度に逆相関の関係があることを報告し、これらをN-type(高NO3-濃度流出)、C-type(高DOC濃度)、M-type(いずれも低濃度)に3区分し、この違いは土壌への有機物と窒素の供給バランスによって説明できる可能性があるとした。このことは森林生態系において炭素-窒素の循環が相互に関連していることを示唆するが、各タイプがどのような森林タイプに相当するのかといった具体の知見にはまだ乏しい。そこで筆者らは、北海道中央部の林相の異なる森林小流域3箇所(天然生広葉樹林・高齢級トドマツ人工林・落葉広葉樹二次林、流域面積:6~9ha)において実施した採水分析結果を用い、森林タイプの違いがDOC- NO3-濃度比に与える影響を考察した。3カ年(2010年10月~2013年9月)の平均値でみると、平水時DOC-NO3-濃度の関係は森林タイプによって明瞭に異なっており、広葉樹二次林はM-type、天然生広葉樹林はC-typeに相当した。一方、高齢級トドマツ人工林は、DOCもNO3-も高濃度で、前述した3タイプのどれにも当てはまらず、有機物が豊富にあってもエネルギーにできない状態、すなわちNH4+の不動化が起きず硝化が促進されていることが示唆された。また、流域ごとに値の大小はあるものの、DOC-NO3-濃度比は初夏~秋に高く冬期に低くなるといった共通の季節変化が認められた。植物の生育期には無機態窒素は速やかに消費されるため、土壌中では有機炭素が余剰気味となり溶脱し渓流水へDOCとして流出するが、冬期は窒素の消費が減少し、かつ積雪下でも硝化反応が進行するためNO3-が余剰となることを反映していると考えられた。(引用文献)Konohira, E. and Yoshioka, T. Eclo.Res (2005) 20: 359-365.


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