| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-O-436  (Poster presentation)

生育環境が葉肉蒸散に与える影響

*澤上航一郎, 舘野正樹(東大・院・理・日光植物園)

陸上高等植物は主に葉を使い、二酸化炭素を吸収し、水蒸気を放出する。これをガス交換という。葉は効率的に光を受け、そのエネルギーを使って二酸化炭素を有機物に合成する。材料となる二酸化炭素の取り込み口は気孔といい、表皮細胞から作られた開閉可能な器官である。葉は必要なときに気孔を開け、二酸化炭素を取り込むことができる。この時同時に、葉内から水蒸気が放出され、これを蒸散という。陸上植物にとって水は貴重であり、蒸散は可能な限り少ないほうが好ましい場合が多い。葉の表皮細胞上はクチクラで覆われており、水蒸気の蒸発を防いでいるため、葉の水分は殆ど蒸散によって失われる。蒸散速度は気孔の数や気孔開度によって決まるが、さらに葉肉細胞からの蒸散能力によっても大きく変化することが予想される。このことを確認するため、いくつかの生育環境により葉の形態を変化させた材料を用い、葉肉蒸散を比較する必要がある。本研究では、明るい富栄養、明るい貧栄養、暗い富栄養下で栽培したツユクサを用い、葉の形態、ガス交換能力および葉肉蒸散速度を比較した。


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