| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-08  (Poster presentation)

渡良瀬遊水地の自然(1)

*平塚勇輝, 栃木広夢, 栗原渉, 羽金直人(栃木県立小山高等学校)

 渡良瀬遊水地は栃木県・埼玉県・茨城県・群馬県の4県にまたがる本州最 大の湿地である。植物約1000種、昆虫約1700種、鳥類250種など多くの動植物の生息地であり、その中には多くの絶滅危惧種が含まれている。その環境の貴重さからラムサール条約湿地に登録され、湿地保全の取り組みが実施されている。遊水地内には湿地保全・再生の実験地が設けられ、モニタリングが行われている。
 渡良瀬遊水地を守る利根川流域住民協議会のご協力を得て平成28年度生きもの調査に参加し、水質や環境条件の異なる場所に多様な生物が生息していること、少なからず外来生物が入り込んでいること、乾燥化が進み、生態系が単純化しつつあること、ヨシ原にはクモなどの昆虫が少なく、生態系が貧弱である可能性があることなどを知ることができた。
 渡良瀬遊水地の貴重さと現状を知るにつけ、保全・再生の一助になる取り組みを行いたいと考えた。そこで、渡良瀬遊水地の生態系も分解者によって支えられていると考えられることから、分解者である土壌動物・土壌微生物の調査を実施することにした。土壌動物についての報告が渡良瀬遊水地の自然(1)であり、土壌微生物についての報告が渡良瀬遊水地の自然(2)である。
 土壌動物の抽出は小型のツルグレン装置で実施し、抽出した多くが中形土壌動物のトビムシ、ダニ類である。抽出した個体数をもとに土壌中の密度を求め、土壌のpH、温度、水分などの環境条件と土壌動物の分布における関連性の考察を行った。
 調査中最も困難なことは、土壌動物の種の同定であったが、専門家のアドバイスにより大まかな分類をすることにした。分類には、青木淳一博士の考案した土壌動物の分類検索表を参考にした。青木淳一博士の検索表では、「自然の豊かさ」評価ができるので、数値を算出し、他の場所との比較を実施した。


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