| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


シンポジウム S04-4  (Lecture in Symposium)

熱帯泥炭地の空間分布データの構築

*広瀬和世, 武田知己(一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構)

本研究は、ボルネオ島における熱帯泥炭林の炭素動態を広域に評価するため、熱帯泥炭地の空間分布データを収集及び整理し、精度の高い泥炭分布図を作成することを目的としている。
ボルネオ島は、インドネシア、マレーシアそしてブルネイの3か国からなり、泥炭分布面積の大きいインドネシアでは、2004年にWetlands Internationalが作成した泥炭分布図と2011年に農業省が作成した泥炭分布図が存在する。しかし、両者の泥炭面積を比較すると、Wetlands Internationalと農業省でそれぞれ20.7Mhaと14.9Mhaとなっており、面積に大きな違いが見られる。また、過去に発表された泥炭分布図を比較しても、泥炭の定義や使用したボーリングデータの違いにより泥炭面積は異なり、泥炭分布図には大きな不確実性が含まれる。
本研究の開発方法は、1)既存の泥炭分布データの収集と整備、2)泥炭分布データの精緻化と高精度化、3)高精度データの構築に分かれる。
1)では、既存の文献、報告書、web等から泥炭分布データを収集するとともに、現地関連機関から関連する情報(地形図、地質図他)を入手する。収集したデータは全て空間情報としてGIS上で統合する。2)ではGIS上に統合した泥炭分布データ及び関連情報を比較し、泥炭分布に大きな違いや不明確な箇所が認められる場所を抽出し、ボーリング調査を実施する。さらに、ボーリング調査の結果をもとに,既存の泥炭分布データの検証および修正行い、泥炭分布データの精度向上を図る。3)では、さらに高精度な泥炭分布データを構築するためのボーリング調査を実施し、高精度泥炭分布図を構築する。
これまでに、上記1)及び2)を実施した。ボーリング調査は、マレーシア・サラワク州とインドネシア中部カリマンタン州を対象に合計約100個所で実施し、泥炭分布データの精緻化と高精度化を行った。


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