| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


シンポジウム S14-2  (Lecture in Symposium)

如何にして科学と政策を結び付けるか:英生態学会によるlegislative scanの取組み

*天野達也(ケンブリッジ大学)

生物多様性の保全に関わる研究が飛躍的に発展する一方で、得られた研究成果が実際の保全活動や関連した政策に活用されないという問題、いわゆる研究-実務間ギャップ(research-implementation gap)が、保全科学における深刻な問題として近年注目を集めている。科学が政策に直結しない原因は多数考えられるが、そのうちのひとつが政策側の必要とするタイミングで必要な科学的知見が得られないという問題である。この問題を解消するために英国生態学会が2011年から毎年行っている取り組みが、legislative scan(政策活動の概観)である。この取組みは、その年に制定される法律や予定されている政策に関する活動の中で、生物多様性保全に対して重要な帰結をもたらす可能性があるものをあらかじめ調べて要約し、研究者コミュニティに対して広く公表することを目的としている。この取組みによって、研究者が自らの研究をどのタイミングでどのようにして政策決定に活用させることができるか、事前に理解することが期待される。本講演では英国生態学会によるlegislative scanの実施過程とその具体的な内容を紹介し、日本において同様の取り組みを導入する可能性を探る。


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