| 要旨トップ | ESJ64 自由集会 一覧 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


自由集会 W07  3月14日 18:00-20:00 H会場

フグが「ミステリーサークル」を建設するロジックを解明する

川瀬裕司(千葉中央博・海)

 奄美大島では,砂でできた直径約2mの美しい円形幾何学模様の構造物が海底に出現することが古くから知られていました。しかしその成因は長い間不明で,地元のダイバーに「ミステリーサークル」と呼ばれてきました。ところが最近,それは体長10cm足らずの小さなフグがつくることが初めて確認され,潜水観察によりフグの生態学的研究が進められました(Kawase et al., 2013; 2015)。その不思議な生態は国内外のマスメディアで広く紹介され,大きな反響を呼びました。また分類学的研究により,このフグはアマミホシゾラフグTorquigener albomaculosus Matsuura, 2014として新種記載され,2015年の世界新種トップ10に選ばれました。
 このミステリーサークルの最大の謎は,小さなフグが自分の体長の20倍以上ある精巧な構造物をいったいどのようなアルゴリズムでつくっているのかということでしょう。この謎を解明するために,生態学者が3D形成,ロボット工学,情報科学の研究者と「フグプロジェクト」を結成して学際的な研究を進めているところです。自由集会では,ミステリーサークルに少しでも興味をお持ちの様々な研究分野の方にお越しいただき,多様な視点から活発な論議ができればと考えています。

※タイトルと演者に追加・変更の可能性があります。最新情報はwebページ(http://tetraodon.jimdo.com/)をご覧ください。

[W07-1] 生命の形を「建築」する 近藤滋(阪大・院・生命機能)

[W07-2] アマミホシゾラフグの繁殖生態―これまでに解ったこと・これから調べること 川瀬裕司(千葉中央博・海)

[W07-3] 水中写真によるミステリーサークルの立体構造解明 北嶋友喜(阪大・院・基礎工学)

[W07-4] ミステリーサークルを形成する砂の粒度組成とその変化 進寛史(阪大・院・基礎工学)

[W07-5] ミステリーサークル形成のシミュレーション 水内良(阪大・院・情報科学)


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