| 要旨トップ | ESJ64 自由集会 一覧 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


自由集会 W17  3月15日 18:00-20:00 G会場

多様性の進化に対する統合的な理解への挑戦

香川 幸太郎(統数研),森井 悠太(北大・農)

地球上の多種多様な生物はいかにして起源したのだろうか?この命題はダーウィン以来問われ続けてきたが、未だ総合的な理解には至っていない。多様性の進化には、多様なタイプの生物が進化し、かつそれらが安定的に存続することが必要である。したがって、多様性の進化を理解するためには、①多様化を促す生態的機構、②形質進化の遺伝的基盤、③多様性が安定的に維持される機構、のそれぞれに対する理解を深め、それらを統合した理論を構築する必要がある。これらの各要素に対する理解は、近年の研究技術の発展と長年にわたる研究の蓄積によって深まりつつある。これまでに、種の多様化を引き起こす生態的機構が様々な対象種で実証的・理論的に研究され、多くの知見が蓄積されてきた。また、近年の遺伝配列決定技術の向上に伴い、形質進化の遺伝的基盤が理解されつつある。その一方で、個体群生態学・集団遺伝学の研究によって、集団の存続性を決める要因も明らかになってきた。今後の課題は、これらの異なる視点から得られた結果の関係性を明確にし、多様性の進化を説明する統合的な理解を構築することである。本集会では、(1)陸貝の適応放散を促す生態的機構の解明(森井)、(2)個体群の存続性と遺伝的多様性の関係(高橋)、(3)形質進化を司る遺伝的基盤の解明(石川)、(4)雑種形成を介した適応放散のコンピューターシミュレーション(香川)という、多様性の創出と維持に異なる視点からアプローチしている研究例を紹介する。これらの研究例を通じて、多様性進化の統合的な理解への手掛かりをつかみたい。

[W17-1] 捕食者が促す被食者の放散と収斂:カタツムリの防御戦略はどのように進化したのか 森井 悠太(北大・農)

[W17-2] 遺伝的多様性の進化とその副産物的人口動態 高橋 佑磨(千葉大・理)

[W17-3] DHA合成能が担う淡水域への適応放散とその遺伝基盤 石川 麻乃(遺伝研)

[W17-4] 雑種形成が種の多様化に果たす役割を探る:進化シミュレーションによる研究 香川 幸太郎(統数研)


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