| 要旨トップ | ESJ64 自由集会 一覧 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


自由集会 W30  3月17日 18:00-20:00 G会場

生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)の課題・展望と研究者への示唆

高橋康夫(IGES), 橋本禅(東京大学)

日本生態学会は、1)次世代の育成、2)国際化、3)社会貢献、4)他分野との横断的交流の4点を今後強化すべき活動の指針に掲げている(2015年総会決議)。生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)は、生物多様性・生態系サービスと人間の福利や人為影響との関わりについて科学的に評価し、科学と政策の連携を強化する国際的なプラットフォームとして2012年4月に設立されたもので、日本生態学会の4指針に関りの深い国際的取組である。IPBESではこれまでに花粉媒介と食糧生産に関するテーマ別アセスメントとシナリオ・モデリングに関する方法論アセスメントは既に完了、公表され、現在は土地劣化と再生に関するテーマ別アセスメント、地域アセスメント、地球規模アセスメントの執筆作業が進められている。
この集会では、特にIPBESが新規に注力している内容に焦点を当て、これまでの執筆作業から見えてきた課題や展望について共有するとともに、研究者がこれらの課題の解決や今後の発展に貢献し、ひいては社会からの期待に応えていくための研究や政策との関わりのあり方について共に学ぶ機会としたい。そのため、生態学研究者に限らず複数の分野や立場からIPBESに関わる方を迎え、IPBESが注力する先住民・地域住民との知識体系との協働、生物多様性・生態系の多様な価値の概念化、生物多様性・生態系サービスのシナリオ分析とモデリング、ならびに政策支援ツールと方法論の4点について重点的に議論したい。
先住民・地域住民との知識体系との協働は文化人類学や環境社会学等との学際領域で学会指針4)に該当し、生物多様性・生態系の多様な価値の概念化やシナリオ・モデリング、政策支援ツールと方法論は学会指針3)の社会貢献をより効果的なものとするために重要な要素である。また、IPBESの動向・課題や研究ニーズを共有することは学会指針1)と2)の展望を開くものである。

[W30-1] 趣旨説明・導入 高橋康夫(IGES)

[W30-2] 生物多様性・生態系の多様な価値の概念化 八木信行(東京大学)

[W30-3] 先住民・地域住民の知識体系との協働 市川薫(国連大学サステイナビリティ高等研究所)

[W30-4] 生物多様性・生態系サービスのシナリオ分析とモデリング 橋本禅(東京大学)

[W30-5] 政策支援ツールと方法論 香坂玲(東北大学)

[W30-6] 政策からの期待 中尾文子(環境省)

[W30-7] IPBES全体を俯瞰して・総合討議 齊藤修(国連大学サステイナビリティ高等研究所)


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