| 要旨トップ | ESJ64 自由集会 一覧 | 日本生態学会第64回全国大会 (2017年3月、東京) 講演要旨
ESJ64 Abstract


自由集会 W35  3月17日 18:00-20:00 M会場

生態学研究とABS

中山直樹(環境省)

ABSは'Access to Genetic Resources and the Fair and Equitable Sharing of Benefits Arising from their Utilization(遺伝資源の取得とその利用から生ずる利益の公正で衡平な配分)'の略称で、遺伝資源を取得(Access)する際のルールと、遺伝資源の利用によって生ずる利益の配分(Benefit Sharing)を公正かつ衡平に行うための仕組みのことをいう。

1993年に発効した「生物多様性条約」は、各国は自国の天然資源に対して主権的権利を有するものと規定しており、遺伝資源を他の締約国から取得する際には、①遺伝資源が存在する国が定めた場合には当該国の「事前の同意(PIC)」を得ること、②提供者と取得者の間で「相互に合意する条件(MAT)」が設定されていること、を求めており、これがABSに関する基本的な国際ルールとなっている。
また、2014年には、生物多様性条約が掲げる上記のルールを実効性のあるものとするための具体的な措置ついて定めた「名古屋議定書(正式名称:生物の多様性に関する条約の遺伝資源の取得の機会及びその利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分に関する名古屋議定書)」が発効し、各国においてABSに係る国内法令の整備が進みつつある。

生態学研究において、海外遺伝資源へのアクセスは重要である。
しかしながら、その際に必要となるABSの手続きは、遺伝資源提供国の国内法令に従うため、画一的な対応が困難であり、多くの研究者はABS問題に苦慮していることが実情である。

本企画では、海外遺伝資源へのアクセスの一助とすることを目的に、日本国内における学術分野でのサポート体制や提供国法令等について情報提供を行い、参加者とともに生態学分野におけるABSのあり方等について議論する。

報告予定者:
環境省自然環境局、国立遺伝学研究所ABS学術対策チーム等より数名を予定

[W35-1] ABSと名古屋議定書の概要と国内外における最近の施策の動向等について 他 環境省担当官 他


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