| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-047  (Poster presentation)

腸内細菌叢多様性維持機構を探る数理的研究

*織原健人, 井原泰雄(東京大学大学院)

腸内細菌の一部には、宿主の消化作用を補い、利用可能な食物を増やす働きをもつものがある。ヒトが地球上の多様な環境に分布を拡大した背景には、このような腸内細菌の働きがかかわっている可能性がある。つまり細菌の構成が変化したことにより、限られた栄養源や特殊な食物に適応することができた可能性がある。実際、伝統的な生活を営むニューギニア人集団の腸内細菌の多様性を、西洋化した食習慣をもつ米国人集団と比較すると、個体間の多様性(β多様性)が低く、個体内の細菌の種類数(α多様性)と集団内の細菌の種類数(γ多様性)が高いことが知られている。本研究では、このような多様性のパターンの変化を生み出す機構を明らかにすること及び、食性適応による自然淘汰を検出できるパラメタの探索を目的として、自然淘汰と個体間の細菌伝播を考慮した計算機シミュレーションを行った。


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