| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-240  (Poster presentation)

時系列データを用いたニホンザルの行動圏推定手法の評価

*上田羊介(新潟大院・自然科学), 望月翔太(新潟大院・自然科学), 山本圭介(甲斐けもの社中(NPO)), 村上拓彦(新潟大・農)

現在日本の全国でニホンザルによる農作物被害が発生している。ニホンザル被害対策のた
めには、群れごとにモニタリングを行い、その情報を元に対策を行っていくことが推奨さ
れている。群れのモニタリングを行う上では、ラジオテレメトリ法による位置情報の取得
は一般的な手法である。取得された位置情報から、群れの行動圏や環境利用の選好性など
を知ることが可能となる。位置情報を取得するだけでなく、行動圏や環境利用特性を明ら
かにすることで、群れのより詳細な状況を評価することができる。
また近年GPSテレメトリ法の技術の普及によって、一度個体にGPS首輪を装着するこ
とで以降一定期間は群れの位置情報を高頻度かつ自動的に取得することが可能となった。
しかしGPS首輪は装置が高価であるなどの理由から、全国の自治体では費用が比較的安価
なラジオテレメトリ法が採用されることが多い。さらに一度装着した後は自動で位置情報
が取得されるGPSテレメトリ法に対し、ラジオテレメトリ法では人力で位置情報を取得す
る必要がある。そのため、ラジオテレメトリ法を導入している市町村においても、その取
得頻度は異なる。一定数の位置情報があれば行動圏を算出することは可能である。しかし
ニホンザル個体群に関して、取得された情報の量に対して得られる行動圏などの質に関す
る議論はまだまだ少ない。
そこで本研究においては山梨県南アルプス市に生息する湯沢群を対象に1年間のGPSテレ
メトリ法による位置情報の取得を行い、複数の手法を用いて行動圏の算出を行った。そし
てその位置情報からラジオテレメトリ法による位置情報を仮想的に作成し、行動圏の算出
・比較を行った。発表においては、作成したラジオテレメトリ法との比較によるサンプル
数の議論だけでなく、サンプル数に応じて推奨される行動圏算出手法の違いに関する議論
も行う予定である。


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