| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-288  (Poster presentation)

北海道東部の異なる土地利用下における土壌からの亜酸化窒素発生と硝酸溶脱の関係

*長根美和子(北海道大学環境科学院), 柴田英昭(北海道大学), 内田義崇(北海道大学農学研究院), 舘野隆之輔(京都大学)

土壌からの亜酸化窒素(NO)は、主に微生物反応である硝化や脱窒に由来するため、栄養塩、水分、酸素といった、土壌微生物活動を制限する要因によって発生量は変動する。これらの要因は土地利用によって変わるが、NO発生量や、土壌の窒素動態に対してどのように影響を与えるかといった詳細は明らかではない。本研究では北海道東部の別寒辺牛川流域周辺の代表的な土地利用である森林、牧草地、河畔湿地土壌(以下、河畔土壌)を対象として、栄養塩添加を行なった場合に、異なる土地利用の土壌におけるNO発生と硝酸溶脱はどのような関係にあるのかを明らかにすることを目的とした。栄養塩として硝酸態窒素(NO)・アンモニウム態窒素(NH)・リン酸態リン(PO3−)を添加した室内培養によりNO発生と硝酸溶脱の関係を調べ(実験1)、安定同位体窒素(15N)を用いて、NO発生に関与する硝化と脱窒の相対的な重要度を解析した(実験2)。実験1から、森林土壌と河畔土壌ではNOの添加により、脱窒によるNO発生量の増加が示唆された。また、NO添加処理によって森林土壌と牧草地土壌からのNO溶脱量は、無処理やNH添加処理と比べてそれぞれ有意に増加した。河畔土壌からのNO溶脱量は処理による有意な変化が認められなかった。実験2では、土壌から発生したNOの起源は、全ての土壌においてNOが主体であることが確認された。また、森林土壌では土壌水分が高い条件下において、NO由来のNO発生量が増加する傾向にあった。 本研究から、土壌からのNO発生量は、土壌内における栄養塩環境によって変動することが示された。特に土壌内の硝酸態窒素が増加すると、土壌微生物によるNOを基質とした脱窒反応によりNO発生量が増加するものと考えられた。また、土壌水分の豊富な河畔土壌では脱窒による発生が高いことにより、土壌からの窒素溶脱の負荷を低減する機能があることが示唆された。


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