| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P2-131  (Poster presentation)

フィジー・ガウ島における薬用植物の伝統的資源管理:村落間の違いが生じるしくみ

*宮本加奈(東京大学大学院), Randolph Thaman(南太平洋大学), Joeli Veitayaki(南太平洋大学), 吉田丈人(東京大学大学院)

伝統的な資源管理や資源利用の方法は、環境条件や地域文化に適合するようにそれぞれの地域で独自に生み出されてきたと考えられる。太平洋島嶼国であるフィジー共和国にも、こうした伝統的な資源管理や資源利用が存在する。フィジーの小規模な離島であるガウ島に存在する16村を対象に伝統的な植物療法の実態を予備的に調査したところ、伝統的な資源管理や資源利用が色濃く残っており、村ごとに異なる処方箋(どの薬用植物をどの症状に用いるか)や、資源管理の質に村間で違いが見られた。薬用植物の資源管理は、村の一般的なコミュニティルールに従う形で進められており、様々な理由で村のコミュニティルールに変化が生じると、資源管理にも影響しているようである。
本研究は、ガウ島における薬用植物の伝統的な資源管理について、知識の継承や管理方法等の実態を明らかにするとともに、それらの知識が効果的に維持活用される条件について検討することを目的とした。そのため、ガウ島の16村を対象にして、薬用植物の資源管理や植物療法の利用状況に対する村の社会経済的要因の影響を分析した。伝統的な資源管理や資源利用に影響を与える要因については、Ostrom (2009) が提示した社会−生態システムの分析枠組みを利用した。すなわち、資源システム(RS)、資源ユニット(RU)、ガバナンス・システム(GS)、利用者(A)に関する諸要因を検討した。伝統的な資源管理や資源利用がどのような社会―生態システムの諸要因と関連しているかを統計分析を用いて検討中であり、本発表では、その研究成果について紹介する。


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