| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-038  (Poster presentation)

温帯性木本ツルのシュート伸長様式と光環境の関係

*西尾孝佳, 奥山香澄(宇都宮大学)

植物群落上層の枝葉は,被覆により光量を低下させたり,特定波長の光の吸収あるいは反射により光質を変化させ,植物の発芽や開花時期、茎の伸長パターンを改変する。様々な群落発達段階に出現するツル植物は,生活史を通じて,こういった光環境の変化を経験するかもしれない。近年,土地利用の変化や気候変動などに伴いツル植物が世界各地で増加している。日本においても,アレチウリなどの非在来ツル植物の増加に加え,在来種であるクズの繁茂も著しい。このような増加には様々な原因が考えられるが,森林や草地の光環境の変化も一因となったと考えられる。そこで本研究は,栃木県内に分布する在来の木本ツルの光応答を比較し,シュートの伸長特性と光環境の関係を解析にすることを目的とした。解析には栃木県宇都宮市の鬼怒川河川敷に自生する温帯性木本ツルを用いた。対象とした木本ツルは,光環境を操作した実験系内で栽培し,植物高,基部径,シュート数,バイオマス,シュートの形態などを計測した。これらの計測の結果,個葉面積,節間長,SLA(比葉面積:葉面積/葉乾燥重),LMR(葉重比:葉乾燥重/シュート乾燥重),LAR(葉面積比:葉面積/シュート乾燥重)などの違いから,光に対する応答特性の種間差異が示唆され,かつその結果は,鬼怒川河川敷における対象種のハビタット特性と対応すると考えられた。


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