| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-132  (Poster presentation)

モンゴル北部カラマツ林におけるマイマイガ被害

*城田徹央(信州大学), 岡庭伸平(信州大学), 田邊智子(信州大学), 井上国篤(信州大学), 藤岡薫子(信州大学), 安江恒(信州大学), Baatarbileg, Nachin(モンゴル国立大学), Oyunsanaa, Byambasuren(モンゴル国立大学)

モンゴル北部のシベリアカラマツ林の衰退要因の一つにアジア型マイマイガによる食害が挙げられる。2003年から翌年にかけての食害被害は37万haの森林面積に及んだ。一方で、マイマイガの食害は壊滅的なものばかりではない。本研究では軽度の被害が発生した2016年およびわずかな被害が発生した2017年の食害率を、枝、個体、林分レベルで評価した。林分レベルでの食害率は2016年では16%、2017年では5%と推定された。このとき枝レベルでは、枝の着葉量が小さいほど、また枝の高さが低いほど食害率が高かった。その結果として、個体レベルでは、より低い位置から小さな枝をつけている小さな個体ほど食害率が高かった。このカラマツ個体サイズに食害率が依存する傾向は、軽度の食害が発生した2016年で顕著であり、わずかな被害が発生した2017年では小さかった。一方で壊滅的な被害を受ける年には個体サイズはほとんど関係がない。このように軽度の食害発生は、より小さな個体を選択的に衰退させる効果を持ち、森林のサイズ構造動態に影響を及ぼす要因として重要である。


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