| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-224  (Poster presentation)

台風に伴う風倒かく乱後の倒木搬出が山火事発生リスクに与える影響

*梅林利弘(北大・院・農), 森本淳子(北大・院・農), 鈴木透(酪農大・環境), 小野貴司(酪農大・環境), 小川健太(酪農大・環境)

降雨に恵まれているモンスーンアジア地域の日本において、山火事発生リスクは欧米諸国に比べ低い。しかし、20ha規模の山火事は国内でも数件発生しており、近年の異常気象や深刻な干ばつによりそのリスクが高まる可能性がある。山火事発生リスクの主要因の一つが林床可燃物(落葉落枝、倒木など)であり、その量は地域・林相・施業により異なる。日本の森林かく乱の主要因は台風であり、風倒木の増加とともに林床可燃物量が増加する可能性がある。風倒地での倒木搬出は山火事発生リスクを低下させると考えられてきたが、その詳細に関する調査が十分に行われているとはいい難い。そこで本研究では、野幌森林公園内を対象に4区分(天然林、人工林、風倒後無施業、風倒後倒木搬出)に大別し、区毎の林床可燃物量を推定するために落葉落枝(1h・10h)、倒木(100h・1000h)及び草本(ササを含む)に分類し、現地調査を実施した。その結果、延焼リスクとして問題視されている1hと10h落葉落枝の量に関して、1h量はいずれの区においても類似であり、10h量は倒木搬出区が最も少なかった。草本は人工林区で最も多い傾向があり、ササの量によるものであった。100h・1000h倒木量が大火事を引き起こす可能性がある。100h量はいずれの区においても類似であったが、1000h量は無施業区で最も多かった。可燃物量の総計で見ると無施業区が最も多く、ついで天然林区、人工林区、倒木搬出区の順であった。したがって、風倒かく乱後の倒木搬出の森林施業は林床可燃物量を減らし、山火事発生リスクの低下につながると予想された。


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