| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) P3-273  (Poster presentation)

生態学教育はアクションゲームになりますか?KABURI CANVASの挑戦

*SUDO, Masaaki(https://sudori.info/, 農研機構)

KABURI CANVAS( http://www.sudori.info/game/kaburi/kaburi.html )は、個体群生態学/害虫学の「食う食われるの関係」を再現したアクションゲームである。事の起こりは2014年7月に国際ダニ学会の余興として初公開されたFlashゲーム( http://www.sudori.info/game/kaburi_flash/kaburi.html )で、プレーヤーはPCのブラウザ上で捕食性のカブリダニを操作し、敵(植食者)であるハダニを食べてゆく。ゲームの攻略を著しく困難にする要素として敵の自己増殖が存在し、プレイ開始直後に討ち漏らしたハダニはゲーム盤面である葉を枯らしつつ、(概ね)ロジスティック曲線に従い個体群成長する。放っておけば最終的には葉面パッチの残数が尽きてハダニの発生も終息するが、これすなわちゲームオーバー(防除失敗)となる。
なるべく説明臭くならないよう言語を排除して(これまでの生態学教育/ゲーミフィケーションに欠けていた視点だ。世界観を長々と説明するアニメが萎えるのと一緒)簡素なUIに留めたこともあって、ゲーム自体は好評であった。コロンビアで天敵普及教育に使ったという人からの感想メールが来たこともある。その後Flash自体が非推奨となった事や、iPhoneでも遊びたいとの要望に伴い、2016年春にHTML5への移植を実施した。発表者が既存フレームワークの利用法に疎い為、javascriptでのフルスクラッチ開発となった。新バージョンのウリは、何をおいてもハダニの個体群消長がグラフ表示可能となった点、植物⇒ハダニ⇒カブリダニの栄養間リンクをスイッチする設定が付き、天敵による密度抑制効果を可視化できる点だ。今後の機能向上が期待されるが、javascriptの処理速度が限界に達しており更なるハックに励む必要がある。


日本生態学会