| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


一般講演(ポスター発表) PH-07  (Poster presentation)

アメリカザリガニ P.clarkiiが環境に与える影響力

*山口広夢, 伊藤貫司, 米倉泰地(越谷北高等学校)

昨年、本校周辺での用水路の生物調査でアメリカザリガニProcambarus clarkiiが非常に多く採集された。このアメリカザリガニが用水路の生態系にどのような影響を与えているのかを調査した。
調査期間は5月29日~6月26日で、週に1度、4~5人で1~2時間調査を行った。調査道具としてはタモ網、サデ網、びんどう(罠)を使用した。びんどうは調査1回につき2つ設置した。採集時、アメリカザリガニ以外の生物は、その場で簡易的に同定し、データを取った後、用水路に放した。用水路の生態系の豊かさを数値化するために、種の頻度・多様度指数を用いた。
結果から読み取れる考察としては、アメリカザリガニの個体数の減少に伴い、他の生物の個体数が増えているので、アメリカザリニが用水路内の生態系に少なからず関係しており、アメリカザリガニの個体数の減少に伴い、種の頻度・多様度指数の数値が上がっていくという結果から、用水路内の環境ではアメリカザリガニが生物の多様性を妨げていることなどが考えられる。
反省点として、今回は調査した場所と同じような環境の用水路を見つけることができず、対象区としてアメリカザリガニを採集後に用水路内に放した場合のデータを取ることができなかったことや、実施日数が少なく、多くのデータを取ることができず、アメリカザリガニの個体数の減少に伴う生物多様性の推移を詳しく見ることができなかったことが挙げられる。
今後は、調査する頻度を増やし、今回のデータと比較して、同じような環境の場所で、アメリカザリガニを採集後に放した場合と放さなかった場合のアメリカザリガニ以外の生物の種類や個体数、多様度指数の違いや、飼育実験を行うことで、さらに細かくアメリカザリガニが与える影響について明らかにしていきたい。


日本生態学会