| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


シンポジウム S15-1  (Presentation in Symposium)

趣旨説明

*大澤剛士(農環研)

データや研究から見える2030年の姿

2010年に名古屋で開催された生物多様性条約締約国会議COP10において、2010年までに生物多様性の損失を顕著に減少させるという2010目標が達成できなかったことが結論づけられた。これを受け、わが国では「生物多様性国家戦略2012-2020」が閣議決定された。戦略の決定から6年が経過した今年2018年は、2020年に設定された短期目標の検証が視野に入りつつある時期といってよいだろう。これからの2年間、目標の検証や次のステップについての議論が深まることは間違いなく、応用分野に興味を持つ生態学者の活躍が強く期待される。「生物多様性国家戦略2012-2020」では2020年の短期目標と同時に、2050年に設定された長期目標が存在している。しかし、2年後はともかく、30年以上の未来を具体的に想像することは困難であるというのが多くの生態学者にとっての正直な感想であろう。そこで本シンポジウムでは、学生を含む若手~中堅の世代が社会の中心となることが予想され、かつ現在から具体的に想像ができる年代として、2030年を設定した。2030年は、長期目標の達成年とされている2050年に向けた途中年であり、その時点の取り組みは、2050年に向けた重要な礎であると同時に、その時点であれば様々な軌道修正も可能な年代と考えることができる。シンポジウムの趣旨説明として、現在から見た2030年、すなわち12~13年後の日本社会がどのような状態にあるか、各種データや予測結果を参照しながら概観し、2030年という近未来を演者、参加者間で共有することを狙う。


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