| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


企画集会 T09-5  (Presentation in Organized Session)

Phylogenetic beta diversity reveals global-scale diversification of forest biomes

*Yasuhiro KUBOTA(琉球大学 理学部)

マクロ生態学や生物地理学において、生物種の分布情報は生物多様性の推定や空間パターンの形成機構を理解するための基本的データで、なおかつ、空間的保全優先地域の特定など保全計画にも不可欠である。一方、広域スケールにわたる生物種の分布は体系的に一貫したサンプリングで把握されることは稀である。したがって、様々な研究目的や異なる調査手法で得られた個別情報を集約することで、生物の空間分布データが編集される。例えば、植物多様性のマクロ的パターンを分析する場合、植生調査や植物標本採集で記載・収集された膨大な分布情報は、有望な研究インフラになる。しかし、このような生物種の空間データには、調査努力や分布記録の地域的な偏りなどのバイアスが含まれる。つまり、大規模な生物分布データは、生物多様性パターンの背後にある生態学的シグナルと、人為的調査バイアスによる知見の不完全性(無知の度合い)を知らしめる。私達の研究グループでは、全球スケールで樹木種(10万種以上)の分布情報を編集し、樹木種多様性パターンを分析する上でのデータの空間バイアスに注目した。樹木種の分布データの空間バイアスとその説明要因を把握することは、効果的なサンプリングデザイン(例えば熱帯林におけるプロアクティブな野外調査手法)を考案する上で重要である。この講演では、全球スケールの樹木種分布データを材料にして、種分布データの地理的パターンとバイアスの説明要因、生物多様性推定の可能性、樹木種多様性の全球的パターンなどを議論する。


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