| 要旨トップ | 本企画の概要 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


企画集会 T16-2  (Presentation in Organized Session)

南硫黄島調査の実施体制

*小泉恵佑, 中野秀人(東京都小笠原支庁)

 東京都は、首都大学東京および日本放送協会(NHK)との共同研究で、世界自然遺産に登録されている小笠原諸島南硫黄島において自然環境調査を実施した。南硫黄島は急峻な地形や自然環境の厳しさから人が定住したことがなく、小笠原諸島で最も原生の自然が保たれている島である。自然環境保全法により原生自然環境保全地域として指定され、立ち入りが原則禁止されていると共に、文化財保護法で島全体が天然記念物として手厚く守られている。本調査は平成19(2007)年以来10年ぶりであり、植物、鳥類、陸産貝類などの他、10年前に行えなかった未調査グループ(陸生甲殻類、土壌動物、菌類、地位・蘚苔類など)の調査や、踏査ルート以外はドローンを使った空撮による映像を記録した。
 本調査は、平成29(2017)年6月13日から6月28日までの16日間に実施した。調査体制の編成は、調査班(植物、哺乳類、鳥類、爬虫類、陸産貝類、昆虫、海洋生物、陸生甲殻類、土壌動物、蘚苔類、菌類の専門家)、山岳サポート班(山岳物資の荷揚げ及び、踏査ルートの整備・安全確保、調査隊員の登攀支援を行う等)、海洋サポート班(物資の海上搬送及び、調査隊員の上陸・撤収支援を行う等)、記録・映像班、医療班(有事の際の初期治療を実施する医師)および船舶班の総勢35名である。また、この他にも、生活拠点となる調査船の船員、父島に残り南硫黄島と衛星電話で連絡を取り合うことで現状を把握し、有事の際の連絡拠点としての機能を担う職員等多くの方の支援・協力があった。このような多数の方が一致団結することで、本調査は大きな事故も無く完了することができた。


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