| 要旨トップ | ESJ65 自由集会 一覧 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


自由集会 W19  3月17日 18:00-20:00 A会場

個性研究のすすめ:現象の理解と生態学的可能性を求めて

渥美圭佑(北大環境)、酒井理(京大理)、小泉逸郎(北大環境)

近年の生態学や行動学の分野では、各個体が示す行動の傾向やその集団内バリエーションへの関心が高まっており、動物の個性(個体内で一貫した行動の傾向)や行動シンドローム(行動形質間の相関)を扱った研究が2000年代後半から世界中で盛り上がりをみせている。しかしながら、日本の生態学や行動学の現場ではこのような現象を扱った研究はほとんど見受けられず、世界とのギャップを感じざるを得ない。この理由として、個性という概念への理解不足や、その研究意義への軽視が挙げられる。また、興味はあるが現象をどのように扱えばよいのか分からないといった声も耳にする。そこで本集会では、①個性研究の分野を周知し、②その可能性と限界について広く議論することを目的とする。
はじめに、カギとなる概念である動物の個性・行動シンドロームを紹介する(渥美)。次に、コロニー性鳥類における野外研究を基に、個性が同一集団内の他個体にどのような影響を及ぼすのか、さらには個性が集団の動態にどう影響するのか議論する(風間)。そして、クローンヤモリを用いた野外研究および室内実験を基に、発達段階を通して個性がどのように形作られるのか、非遺伝的な要因に着目して議論する(酒井)。最後に、佐藤拓哉氏(神戸大・理)を招き、コメントを頂く。これらを踏まえて、総合討論では個性研究がはらむ問題点や更なる可能性について議論したい(司会:小泉)。

[W19-1] 「動物の個性」研究とは?概念と枠組みを俯瞰する 渥美圭佑(北大環境)

[W19-2] ウミネコの攻撃性の個体変異と集団繁殖における機能 風間健太郎(北大水産)

[W19-3] クローンヤモリの個性:発達に伴うバリエーションの創出 酒井理(京大理)


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