| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) C03-05  (Oral presentation)

発育空間形状(宿主の大きさ・形)が内部寄生蜂の形態に及ぼす影響
Influence of host size and shape on morphology of an endoparasitoid wasp

*滝ヶ平智博(岡山大学・環境生命)
*Tomohiro TAKIGAHIRA,(Okayama Univ.)

昆虫において,幼虫期に利用可能な餌資源量は,成虫の形態(大きさ・形)に影響を及ぼす.宿主一個体のみを餌資源とする寄生蜂では,宿主の大きさが成虫の形態に強く影響することが知られている.一方で,宿主内部で成虫までの発育を完了する内部寄生蜂においては,発育時に利用可能な空間も宿主の形態によって決定される.例えば,ショウジョウバエに寄生する内部寄生蜂は宿主が形成した囲蛹殻の内部で成虫となる.このような寄生蜂種においては,宿主形態に基づく発育空間の物理的な制約が成虫の形態を決定する要因となっている可能性がある.しかし,これまでに発育空間形状が内部寄生蜂の形態に及ぼす影響を検証する研究は行われていない.
 本研究では,宿主の囲蛹殻内部で発育を完了するタマバチ上科に属する内部寄生蜂を異なる大きさ・形の囲蛹殻を形成する5種の宿主ショウジョウバエに寄生させた.宿主種間での囲蛹殻の大きさ・形状の変異は寄生蜂に寄生させた状態でも観察された.そこで,宿主囲蛹殻の大きさ・形状と羽化した寄生蜂の形態の関係について解析を行い,発育空間形状が内部寄生蜂の形態に及ぼす影響について考察する.


日本生態学会