| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) F03-02  (Oral presentation)

捕獲個体の体長測定アプリの開発
Development of a mobile application for measuring length of captured animals

*土田隼之(鳥羽商船高専), 江崎修央(鳥羽商船高専), 平田滋樹(長崎県)
*Takayuki TSUCHIDA(NIT, Toba College), Nobuo Ezaki(NIT, Toba College), Shigeki Hirata(Nagasaki Pref.)

鳥獣害対策などを目的として捕獲したイノシシや二ホンジカの食肉などの有効利用が全国で取組まれているが、実際は、ほとんどの捕獲個体(7割)が埋設されている。つまり、ジビエとして食肉利用されるのは全体のごく一部(1割程度)であるが、この利用率向上のためには高品質のジビエ肉の生産や衛生的な安全確保が課題となっている。
 これらの要因調査結果によると、イノシシの場合、施設に持ち込まれた半数程度(4割)が搬入までの時間経過や捕獲課程での損傷により食肉に適さない状況にあった。そのため、捕獲した個体の状況をリアルタイムで処理施設や飲食店に通知するシステムを開発することにより、解体処理施設への搬入時間の短縮や受け入れ体制の整備が可能となる。これにより、施設への搬入率が向上し、捕獲個体の有効活用の促進が期待できる。特に、体重の情報は飲食店や処理施設にとって重要であり、体重は体長から推定可能である。
 つまり、狩猟者がこれらの情報を手早く測定し、施設へ連絡できることが望ましいため、我々はスマートフォンを用いた捕獲個体の体長測定アプリケーション開発に着手した。この仕組みを用いることで、イノシシや二ホンジカなどの捕獲個体をスマートフォンで撮影することで、自動的に体長測定が行え、体重、位置などの情報が自動的に送信可能となる。
 開発したアプリケーションによる実証実験により、スマートフォンのカメラが撮影可能な明るさがあれば夜間でも測定可能であり、測定誤差はおおよそ1割程度であることを確認した。


日本生態学会