| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) J01-08  (Oral presentation)

生物季節観測データを用いた、アキアカネをはじめとする生物相の経年変化分析
The fall, rise, and fall of Akiakan, Sympetrum frequens: a long-term phonological study tells us the past and the current declines of the species.

*池上真木彦, 五箇公一(国立環境研究所)
*Makihiko IKEGAMI, Kouichi GOKA(Nat. Inst. Env. Studies)

秋の風物詩として童謡にも唄われる身近な存在であったアキアカネ。近年急激にその数を減らしているとされる。アキアカネ個体数の減少が始まったとされる時期が、ネオニコチノイドなど新型の浸透移行性殺虫剤が普及した時期と重なることより、これらの農薬による負の影響が疑われてきた。しかし、アキアカネ個体数減少を示す経年的かつ科学的なデータはごく限られており、野外における農薬による個体数減少は未だ仮説のひとつに過ぎない。
一方、アキアカネは秋を代表する生物の一つとしてその生物季節が気象庁によって毎年全国で観測されてきた。生物季節観測データは通常、観測日の変化を対象とした研究事例が多い。しかし、演者らはある生物が各地点で観察されたかどうかに着目する事で、アキアカネや他の生物季節指標種の全国レベルで分布増減を経年的に把握する事が出来るという仮説をたて、その検証を行った。解析の結果、アキアカネをはじめとして多くの生物種が各地で減少していること、そして過去にも大幅な減少が起き、一部の種はそこから回復し、近年再び減少に転じた可能性があることが確認できた。本講演では、農薬や土地利用の変化がアキアカネをはじめとする身近な生物の分布消長に与える影響の評価も試みたい。


日本生態学会