| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(口頭発表) M01-08  (Oral presentation)

モデル選択後に統計的検定を行うと検出力にどう影響するか 【B】
Power of statistical tests in post-model selection hypothesis testing 【B】

*粕谷英一(九州大学)
*Eiiti KASUYA(Kyushu University)

 生態学などでのデータの解析においては、AICやBICのような情報量規準や検定によりモデルを決めた後で、そのモデルを使って要因や説明変数の効果の検定や推定などを行うという手順は普通である。しかし、情報量規準によるモデル選択と統計的検定のロジックは質的に異なっているうえに、モデル選択後に統計的検定を行うことの妥当性は示されていない。モデル選択後の推定が信頼区間などでバイアスのある結果をもたらすことから考えると妥当性は疑わしい。また、検定によってどのモデルを使うかを決め、その後でそのモデルを使って検定を行うという手順の妥当性もまた示されていない。
 そこで、単純な状況で、これらの、まずモデルを決めてその後に検定を行うという手順(ポストモデル選択検定と呼ぶことができる)を検討した。一般化線形モデル(GLM)で、ある説明変数の効果を見たいときに、もう1つの別の説明変数をモデルに取り込むかどうかという問題を扱う。すでに以前の本学会で、第1種の誤りの率に関しては、広い範囲の条件のもとでインフレーションが起こっており、有意確率(いわゆるP値)を過小評価して実際には効果がなくても高い確率で効果を検出してしまうことを報告している。今回は、本当は効果があるときにどれだけ有意なものとして検出できるかという、検出力について検討する。いつも他の説明変数を含めないモデルを使用、いつも他の説明変数を含めたモデルを使用、AICやBICや検定でどちらのモデルを使うか選ぶという場合を比較する。


日本生態学会