| 要旨トップ | 目次 | 日本生態学会第66回全国大会 (2019年3月、神戸) 講演要旨
ESJ66 Abstract


一般講演(ポスター発表) P1-030  (Poster presentation)

種分布モデルによる最終氷期の植生図から推定した現存植生図の精度検証
Accuracy verification of the present vegetation map estimated from the vegetation map in the Last Glacial Maximum using a species distribution model

*設樂拓人(筑波大学), 相原隆貴(筑波大学), 上條隆志(筑波大学), 松井哲哉(森林総合研究所)
*Takuto Shitara(Tsukuba University), Takaki Aihara(Tsukuba University), Takashi Kamijo(Tsukuba University), Tetsuya Matsui(FFPRI)

今から約2万年前の最終氷期最盛期(LGM期)の日本列島は,年平均気温が現在よりも約4℃から13℃低く,降水量は現在の5割から7割程度に低下し,寒冷・乾燥気候が卓越していたとされている.したがって,LGM期における日本列島の森林植生の植生タイプや分布,種組成は現在の森林植生とはかなり異なっていたことが,大型植物遺体や花粉化石の記録によって明らかにされている.Tsukada(1984)は日本列島のLGM期の主な植生は(1)ツンドラ,(2)疎林ツンドラ,(3)亜寒帯針葉樹林,(4)温帯性針葉樹林,(5)温帯性針広混交林,(6)照葉樹林の6型に大別出来るとした.現在の森林植生がどのように確立されたのかを解明していくには,これらの森林植生のLGM期から後氷期にかけての動態を解明していく必要がある.

本研究では,LGM期以降の森林植生の分布変遷の理解を深める一環として機械学習による生物種のニッチを推定する手法である種分布モデリングを用いて,Tsukada(1984)のLGM期の植生図から植生タイプごとに種分布モデルを構築し,各植生タイプに対する気候要因の特定した.さらに,そのモデルから現在の潜在自然植生図の予測を行った.そして,予測されたモデルと現在の潜在自然植生図との類似点、相違点を整理し、LGM期以降の気候変動と日本列島の森林植生の分布変遷について検討したい.


日本生態学会